みりんさん 片口菜摘さんコラム

本みりんの基本の使い方
~効果・効能とともに~

本みりんには、基本的に7つの効能があると言われています。しかも、入れるタイミングでどの効果がでるかもまちまちです。味見も飲むと酔っぱらってしまうし、なかなかできない調味料なくせに、その効果がたくさんでしかもみりんそのものの味で“味付け”するというより他を引き立てる効果がたくさんあります。

本みりんの調理効果7つ

効果その1:柔らかで奥行きのある甘みをつける

効果が出る調理のタイミング: 調理のどの段階でも効果あり

この効果は、みりんがどのような状態でも効果がある、基本の調理効果です。白砂糖のように単糖(スクロースのみ)ではなく、複合的に糖を何種類も含む(イソマルトースなど)ため、甘みの元が多彩で幅があり、甘さにふくらみがあるのに、どこか優しい甘さになっています。 調理のタイミングはいつでも同様に効果があります。

効果その2:コク・うまみをつける

効果が出る調理のタイミング: 調理段階のどの段階でも効果あり

これは、日本酒(料理酒)にもある効果です。米由来の旨味、また、熟成が進む中で生まれるコクが料理の味に厚みを与えてくれます。
料理、とくに和食においては、旨味の効果は足し算ではなく、掛け算だと言われています。様々な旨みをかけ合わせていくことで、味に奥行きが出て、料理の味の深みが増していくとされています。

効果その3:酢カド・塩カドをとって丸みのある味に仕上げる

効果が出る調理のタイミング: どの段階でも効果あり。手順としてはじめに入れた方がよい場合が多い

これは、旨み成分が理由であるため、日本酒にもある効果ではありますが、それだけでなく砂糖のまろやかさ、甘みの複雑さがより、味を丸く仕上げるのに役にたってくれます。ポン酢などはツンとせず仕上がり、また、すし酢でも柔らかな仕上がりになります。

効果その4:味染みをよくする

効果が出る調理のタイミング: 調味料の中で一番初め、下味

これは、アルコールによる効果で、他のお酒でも効果があります。ただ、本みりんには糖分も含まれているため、アルコールでしみこみやすくなったところに即座に糖分がしみ込めるため、より味染みが均一できめ細やかになります。

効果その5:煮崩れを防ぐ・形状を保持しやすくする

効果が出る調理のタイミング: 煮崩れの場合、一番最初に入れる。形状保持の場合、煮詰まってこげる直前で熱い・温かい状態

砂糖にもある調理効果のひとつです。ですが、飴に近い性質をもち、アルコールのおかげで浸透する力も優れている本みりんの方が、この調理効果をより発揮できる場面もあります。
煮崩れを防ぐには、糖分とアルコールの力を借りる必要もありますので、両方を含む本みりんは、より煮崩れを防ぐ力が強いです。
また、煮詰めると飴に近い性質を持つことから、米飴、水飴、麦芽飴やカラメルの代わりになります。

効果その6:食材の不快なニオイを減らす

効果が出る調理のタイミング: 食材の火が入りきる前、他の調味料より先に単体で入れる。または下味

これはアルコールの効果で、他の酒類でもある効果です。素材にしみ込んだり付着したりしたアルコールは、蒸発するときに、食材の不快なニオイをキャッチして持ち去ってくれます。
ちなみに、アルコールの蒸発温度は、78.3度。それより低い状態にある食材にかけたりしみ込ませたりするのが大事です。
肉や魚では本当に雲泥の差が出ます。臭み消しの方法はたくさんありますが、このひとつだけで圧倒的な差がでます。

効果その7:テリ・つやをつける

効果が出る調理のタイミング: 仕上げとして一番最後に。

本みりんの特権と言ってもよいような調理効果です。しかしながら、このイメージが先行しすぎて、料亭の料理人でも、「みりんは最後に入れるものだ。」と主張する人がいます。けれど、この最後に入れる意味があるのは、このテリ・つやを与える効果だけです。
この場合、少量でよく、醤油や酢など他の調味料と同時に入れてもかまいません。ただし、できるだけすみやかに水分を飛ばす必要があり、出汁などはできるだけ入れないようにした方がよいです。水溶き片栗粉などでツヤやとろみを増す場合も、できるだけ先に煮詰めてから水分をもつ水溶き片栗粉を入れた方がよいです。

ただ、この調理効果は焦げ付きのリスクがとても高いです。焦げ付かないコツは、自分がほしいツヤ、とろみより二歩手前でとめることです。本みりんは熱した後冷めると粘度があがるため、それを見越して火を入れるのが少し難しい調理効果です。

調味料は、まるで人の印象を決める化粧のよう

ある動画を見ていた時に、ある料亭の料理人の方が「いつどんな風に使うとか覚えてたら料理が難しくなっちまうから、別に覚えていない」とおっしゃっていました。そんなわけない。

その調味料の成分や調理効果を知るだけで、仕上がりは必ず違うものになります。不要なものは、洗ったり、薄めたり、火をかけて飛ばしたり。逆に要るものを残せるように温度を調整したり、濃くなるように工夫したりすれば違いは必ずあらわれます。

調味料を使うのは、まるで化粧をするようだと常々感じます。
例えば、化粧品をよくわからないで本人に合わない色をちぐはぐに塗りたくってしまうと、どんな美人でも崩れてしまいます。調味料も一緒。使い手の腕もありますが、素材がどんなに一流でも、口に含んだ時の印象の大半は調味料に持っていかれます。
こだわりのない調味料でも、写真越しで“映え”ることはできますが、接近戦、つまり実際に口にするときの印象は大きく異なります。

その中で、本みりんはファンデーションやベースメイクのように思います。本みりんを変えるだけで“よくわかんないけど印象が全然違う”と思えます。効果がたくさんで覚えにくいですが、この効果をちょっと意識するだけで大きく出来上がりが異なるので、少しずつ料理するときに意識できるようになると、料理の腕にはかかわらず、調味料のおかげで一皮むけたおいしい料理がつくれるようになりますよ。